趣旨

今日、世界各地で暴力の連鎖や気候変動が惨憺たる状況を生むと同時に、「科学知」と社会の対立が露わになることで,「分断」が深刻化している。地球規模での気候変動や軍事衝突への対応に表れているように、人類が共通の理念の下に行動するという理想からは程遠く、事実認識の不一致を解決する努力さえ放棄されるようになっている。またアメリカ合衆国では、2025年5月にトランプ大統領が全米人文科学基金と全米芸術基金を廃止した結果、全米人文科学基金の職員のおよそ3分の2が解雇される事態に至った。日本でも、6月11日に日本学術会議を法人化する法案が、参議院本会議で可決、成立した。SNSなどでは、科学、特に人文科学や芸術の研究に税金を使用することへの反対や不信感を表明する投稿が見られ、「批判」を基礎に置く人文知と社会の分断が先鋭化している。

かつてインターネットは、マスコミやアカデミアによる「権力としての知」の独占を批判し、誰もが情報を発信し、発言し、他者と討論できる情報空間としての役割を期待された。しかし、現状では選別された情報にのみ依拠した人々の分断を可視化することで、対立と排除を煽る空間と化している。一方アカデミアにおいても、理系・文系の区分をはじめとして、各分野間の相互理解が進んでいるとは言い難い状態が続いている。

本シンポジウムでは、このような分断の複層的な状況を踏まえて、分断を跨いで「社会をつなぎ直す」ために人文情報学はいかなる役割を果たしうるか、を主要なテーマとしたい。情報技術の批判的な検討の上に、それを用いた情報の共有と解釈、新たな知の創造の可能性を今一度考えることによって、社会と科学知、そして社会をつなぎ直すための手がかりを議論できれば幸いである。

開催概要

日程

2025年12月13日 (土) 〜 14日 (日)

会場

九州大学 伊都キャンパス 椎木講堂
バス停から椎木講堂への地図
会場内の地図
※昼食はキャンパス施設を利用できず、また近くで購入も出来ないので、各自持参してください。

共催

九州大学 人文情報連係学府
九州大学大学院 人文科学研究院
九州大学 人社系協働研究・教育コモンズ
九州大学大学院 統合新領域学府 ライブラリーサイエンス専攻
九州大学大学文書館
九州大学附属図書館

実行委員会

遠城明雄 (九州大学)【委員長】
武梦茹 (九州大学)、 小川潤 (東京大学)、 高田智和 (国立国語研究所)、 土持貴志 (九州大学)、 堤 智昭 (筑波大学)、 中川奈津子 (九州大学)、 橋本雄太 (国立歴史民俗博物館)、 藤田郁 (九州大学)、 水谷亮介 (九州大学)、 李媛 (京都大学)

プログラム委員会

永井正勝 (筑波大学)【委員長】
大向一輝 (東京大学)、 北本朝展 (国立情報学研究所)、 後藤真 (国立歴史民俗博物館)、 鹿内菜穂 (亜細亜大学)、 鈴木親彦 (群馬県立女子大学)、 関野樹 (国際日本文化研究センター)、 堤智昭 (筑波大学)、 西岡千文 (京都大学)、 村井源 (はこだて未来大学)、 村山実和子 (日本女子大学)、 山田太造 (東京大学)、 吉賀夏子 (大阪大学)

主なトピック

人文科学とコンピュータ研究会の理念に即したテーマについての研究発表・事例報告などについて広く歓迎いたします。具体的なトピックは以下に挙げますが、この限りではありません: デジタル・アーカイブ(記録、保存もしくは活用に関する技術、事例、理論など)、保存科学、文化財防災、MLA連携、デジタル博物館、デジタル化文書、ドキュメンテーション、考古学・歴史学・文献学・言語学などの人文系諸学を含むデジタル・ヒューマニティーズ、人文情報学、時空間情報、視覚化、データ・マイニング、色彩情報処理、情報技術を用いた教育、WEB活用、情報検索、メタデータ、知的財産権・著作権課題など、広く 人文科学とコンピュータ研究会の理念に即したテーマ、事例、現状批判、問題提起などについてのご発表も広く歓迎いたします。

発表論文募集

項目 日程
募集開始 2025年7月14日(月)
概要論文締切 2025年9月5日(金)
論文採否通知 2025年10月10日(金)
カメラレディ論文締切 2025年11月12日(水) 23:59 (JST)

概要論文の応募について

  1. A4判2ページ(図表を含む)の概要論文を作成してください。査読方針、概要論文の書き方、送付方法などについては、以下のフォーマットに詳しい情報がありますので、ダウンロードの上、必ず参照してください。
  2. じんもんこんシンポジウムはシングルブラインド制を採用します。著者・所属も概要論文に記載をお願いします。
  3. 概要論文には希望する発表形式(口頭、ポスター、デモ、どちらでもよい)を明記してください。
  4. 原則として筆頭著者および発表者となれるのは、企画セッションを除いて著者一人につき1発表とします。共著者には特に制限はありません。
  5. 学生が第1著者の場合は、学生奨励賞の審査対象となりますので、審査希望の有無を選択してください。
  6. 提出された概要論文に基づいて、プログラム委員会で査読・審査の上、応募論文の採否を決定します。
  7. 採択された場合、 A4判6ページか8ページの論文集用カメラレディ論文を提出していただきます。

概要論文の投稿について

  1. じんもんこん2025では、概要論文の投稿にオンライン投稿システムEasyChairを利用します。EasyChairのアカウントをすでにお持ちの方は、そのアカウントを利用してログインしてください。アカウントをお持ちでない方は、新規にアカウントを作成してください。
  2. じんもんこん2025 EasyChairページ (近日公開予定) よりログインし、概要論文を提出してください。
  3. 投稿ファイルのファイル形式はPDFのみとします。
  4. 投稿時、「著者情報」「タイトル」「キーワード(3語以上)」「希望発表形式」を入力して、申し込みをしてください。 ※「著者情報」「タイトル」は、概要論文が和文の場合は日本語で、英文の場合は英語で入力してください。 ※「キーワード」は、日本語入力するとエラーが出る事例が報告されているため、概要論文が和文・英文にかかわらず、英語で入力してください。
  5. 投稿後、すぐにEasyChairから確認メール(受理通知)が送付されます。確認メールが届かない場合は、お問い合わせください。 ※EasyChairから確認メール(受理通知)が届かない場合は、投稿が正常に完了していません。
  6. 概要論文締切までの期間であれば、何度でも概要論文のアップデートが可能です。
  7. EasyChairの詳細な操作方法はEasyChairの使い方 (近日公開予定)をご覧ください。
  8. 概要論文作成、投稿に関して不明な点があれば、下記問い合わせ先にお問い合わせください。

発表形式

  • いずれのセッションも対面発表です。オンライン配信は行いません。

口頭発表

  • 1発表につき発表25分(ただし、前の人との入れ替えを含む)と質疑5分の合計30分となります。

ポスター発表

  • 原則として、じんもんこん2025の開催期間中、指定の場所にポスターを掲示します。
  • ポスター・デモセッション(コアタイム)で、1発表につき1分間のライトニングトーク(ポスター・デモ紹介)を行います。
  • ポスター・デモセッション(コアタイム)で、質疑応答を行います。

デモ発表

  • 原則として、じんもんこん2025の開催期間中、指定の場所にポスターを掲示します。
  • ポスター・デモセッション(コアタイム)で、1発表につき1分間のライトニングトーク(ポスター・デモ紹介)を行います。
  • ポスター・デモセッション(コアタイム)で、デモと質疑応答を行います。

アクセス情報

ルート1: JR筑肥線 九州学研都市駅→昭和バス (15分) 九大ビッグオレンジ下車
ルート2: 博多駅・天神駅→西鉄バス (50分~1時間程度) 九大ビッグオレンジ下車
(参考: 九州大学伊都キャンパスへのアクセス)
※昼食はキャンパス施設を利用できず、また近くで購入も出来ないので、各自ご持参ください。

問い合わせ

jmc2025■googlegroups.com(■を@に変えてください)