CH130

◆第130回 人文科学とコンピュータ研究会発表会

主査: 耒代誠仁
幹事: 鹿内菜穂、中村覚、西岡千文、橋本雄太

※重要・ご注意※
第130回研究会は、新型コロナウイルスの影響に鑑み、オンラインで実施することにいたしました。

【参加費】

種別金額
研究会登録会員無料
学会正会員2000円
学会会員学生500円
学会非会員学生1000円
非会員3000円

情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(IPSJ SIG Computers and the Humanities)では、下記の通り第130回研究会発表会の開催を予定しております。歴史、地理、芸術、民俗、文学、言語、社会などなど、様々な人文科学の諸領域での情報資源の記録、蓄積、分析、提供や応用に関わる研究発表をお考えの方はぜひ奮ってご応募ください。

********************
 日時 2022年8月27日(土)
 会場 オンライン開催
 発表申込締切 2022年7月12日(火) 2022年7月19日(火)
 原稿提出締切 2022年8月2日(火)
********************

(1)募集内容

※ロング/ショートいずれも2~8pの予稿の提出が必要となります(この範囲であれば枚数は自由です)。
※予稿のフォーマットは情報処理学会のページをご参照ください。
※今回は一般口頭発表のみの募集と致します。

(2)申込方法

(3)参加方法

参加申込を8月16日に開始しました。研究発表会当日(8月27日)までお申し込み頂けます。 参加者はマイページへの参加登録が必要です。

プログラム

2022年8月27日(土)

13:00-13:10 開会挨拶

13:10-14:10 セッション1

13:10-13:30
(1) 大河ドラマ放映によるWikipedia記事変化の分析と集合的記憶の再固定化に関する一考察
○西本恵太(任意団体アンコウ・リサーチ・インスティテュート)

 インターネット百科事典Wikipediaには,利用者が作成・編集した歴史上のイベント・人物に関する記事が多数存在する.これまで,Wikipediaを集合的記憶(collective memory)の貯蔵と生成の場と解釈し,記憶の形成プロセスを探る研究が行われてきた.本研究では,集合的記憶における記憶の想起,および想起に伴う記憶の再構成に着目する.集合的な記憶の想起の例として,大河ドラマの放映による歴史人物に対する注意の増加と,それに伴う歴史記事への編集数の変化と編集内容を分析した.さらに分析結果を踏まえて,集合的記憶の再固定化に関して議論を行う.

13:30-13:50
(2) 360度視野の動画で再現するインタラクティブなバーチャル図書館システム
○李雪貞(東洋大学大学院)

 本研究では従来の図書館の使い方に適合するバーチャル図書館のあり方について検討し、利用者が館内で自由に移動が可能な360°バーチャル図書館と具体的なメカニズムを提案し試作した。 近年、バーチャル空間が飛躍的に発展し、不動産業界やエンターテイメントなどに頻繁に利用されている。世界中の有名な図書館や美術館も館内空間や館蔵品をデジタル再現するバーチャルツアーなどを取り入れつつある。しかし、図書館は本を読んで貸す公共施設だけでなく、予期せぬ知識を発見する場として知識と学問の発展に重要な役割を果たしている。その予期せぬ知識を発見する場としての機能は、開架式の公共図書館において、利用者が館内を徘徊しながら偶然出会う本に目を通すという行為を通して実現される。既存のバーチャル図書館の場合、ARやVR技術を積極的に利用しクオリティを高める一方で、自然な移動する機能と臨場感を両方に満足し予期せぬ知識を発見するチャンスを提供できるシステムはまだ存在していない。 この問題を踏まえ、本論文では動的な360°視野で利用者が館内を自由に歩き回す機能の具備したバーチャル図書館を検討する。CGやアニメーションで構築される仮装空間ではなく、実際の360°動画によって書架および書架で陳列されている本の本来の状態を伝える。図書館の紹介動画のような完成した映像を視聴するのと違い、利用者が任意で、書架(行き先)を選択し、動画の視聴によって館内での自由移動が可能となる。実際の図書館での体験を最大限に再現し、利用者の没入感を高める。利用者に知識の探索と発見の場所を提供し予期せぬ知識を発見するという図書館の特徴的な機能を果たす。

13:50-14:10
(3) 新感覚映像コミュニケーション装置としてのプレシネマ追体験システムの設計
○桑原七海(東洋大学)
・藤本貴之(東洋大学)

 視覚装置はさまざまな変化を経て現在のTVや映像のように形を成している.しかしながら多くの視覚装置は新たに誕生した装置や技術で埋もれてしまい,単に使われなくなったという理由だけではなく,進化の余地があったはずの装置でさえ失われてしまった.そこで本論文ではロストテクノロジーとなったビジュアルメディアの数々を取り上げ,プレシネマ期における映像装置を総括した体験アプリケーションを提案する.

14:10-14:20 休憩

14:20-15:25 セッション2

14:20-14:40
(4) TEIガイドラインに基づいた江戸川乱歩「二銭銅貨」草稿のマークアップの検討
○塩井祥子(早稲田大学大学院文学研究科日本語日本文学コース博士後期課程)
・永崎研宣(人文情報学研究所)

 日本近代文学分野では、これまでTEIガイドラインによる草稿のマークアップが検討されつつも、実際にマークアップを施したテキストは皆無に近い。そこで、江戸川乱歩の「二銭銅貨」草稿を例として、方法の検討を行う。「二銭銅貨」草稿には、同一箇所を複数回にわたって書き直したと判別できる箇所がある。全体の執筆段階からみて、どの段階で書き直したかは不明であるが、その部分においては書き直しの時系列が明らかである。そこで、本研究報告では、同一箇所の複数回にわたる書き直しを記述する際の方法について提案する。

14:40-15:00
(5) NDLOCRを用いた東京大学史料編纂所史料集版面画像に対する検索システムの開発
○中村覚(東京大学)
・劉冠偉(東京大学)
・山田太造(東京大学)

 東京大学史料編纂所はこれまで編纂・出版した史料集の版面画像を公開しているが、画像内の文字列に対する検索ができない点が課題であった。この課題に対して、2022年4月に国立国会図書館によって公開されたOCR処理プログラムNDLOCRを用いることで、版面画像に対する検索システムを開発した。本発表ではこのシステム開発について述べると共に、OCR処理によって作成されたテキストデータの応用例について発表する。

15:00-15:25
(6) アートアーカイブにおける情報探索支援のための情報の視覚的提示手法に関する研究
○野間田佑也(多摩美術大学)

 デジタルアーカイブの目的は,資料の蓄積・保存だけではく,知的資産に容易にアクセスし利用できるようにすることが必要不可欠である.そのためには利用しやすい適切なインタフェースの設計が重要な課題となっているが,その実現において情報可視化に重要な役割が期待されている.また,デジタルアーカイブでは,ブラウジングによるアーカイブ全体に対する分析・把握や,潜在的な関心に基づく気づきや新たな疑問を得ることを目的とした情報探索を支援することが求められる.そのため,利用者にとって既知の文書に関する情報検索と特定の文書の閲覧に適したインタフェースとは異なる設計が必要となる.そこで,本研究では,デジタルアーカイブにおける情報探索支援を目的とした視覚化インタフェースのための情報の視覚的提示手法について提案する.本発表では,多摩美術大学と株式会社竹尾による,竹尾ポスターコレクションデータベース(TPC DB)のアートアーカイブのデータセットを利用して,提案手法を試験的に実装した結果についても報告する.

15:25-15:35 休憩

15:35-17:20 企画セッション「(仮)若手研究者からのDH2022参加報告」

「DHカンファレンス報告:プレイベント、基調講演、研究報告」
橋本雄太(国立歴史民俗学博物館)
「DH2022参加報告:仏教関連研究を中心に」
青野道彦(人文情報学研究所)
「歴史ビッグデータでつながる世界のDH Time Machine Europeからedomiへ」
鈴木親彦(群馬県立女子大学)
「DH2022における音楽関連発表:速度偏差を用いた演奏様式の特徴づけ」
高橋舞(東京大学)
「中国大陸におけるDH研究資源:漢字と文献のプラットフォームを中心に」
 劉冠偉(東京大学)

17:20-17:30 閉会

お問い合わせ先

ch-madoguchi■jinmoncom.jp(@を■に変更しています )


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS