招待講演:21世紀はアジアの時代か?

12/19 (土) 13:00-14:00 夢告館MK102

グローバル化の必要性が言われて久しい。これは、論理的に振る舞い欧米と伍して戦える人材・企業の必要性を主張しているのであろう。ところが他方で人々は、スマートフォンを介した友人・家族との感情的なコミュニケーションに一喜一憂している。この奇妙な同居はなぜ生じているのだろう。私は後者の現象を「人々の行為のアジア化」と名付けており、本講演ではまず、この現象がアジア人のみならず欧米人も含めて世界の人々の行為に顕在化しつつあることを論じたい。欧米の人々は、ギリシャ哲学や印刷術の発明を経て論理的に振る舞う事が人間のあるべき姿であると考えて来た。論理的に振る舞う事を求められる欧米人の行為がなぜ感情的に振る舞うアジア人のそれに近づきつつあるのか。講演の後半では、この問題を取り上げ、19世紀後半の映画と電話の発明が欧米人の行為を太古の昔の論理と感情が混在していた時代に戻しつつあることを論じる予定である。

略歴

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中津 良平 氏
1946年生まれ。1969年京都大学工学部卒。1971年京都大学大学院修士課程修了。日本電信電話公社(現NTT)武蔵野電気通信研究所入所。1980年横須賀電気通信研究所。音声認識の基礎研究、応用研究に従事。1990年NTT基礎研究所研究企画部長。1991年NTT基礎研究所情報科学研究部長。1994年ATRに出向し、ATR知能映像通信研究所代表取締役社長として、工学とアートを融合した研究を推進。2002年より関西学院大学情報科学科教授。2001年に(株)ニルバーナテクノロジーを設立し代表取締役社長。2008年から2014までシンガポール国立大学教授およびInteractive & Digital Media Institute所長。現在ヘキサゴンジャパン代表取締役社長、NTアソシエイツ取締役。1982年工学博士(京都大学)。




特別講演:どうなる文理融合、どうするじんもんこん ―融合型研究・教育のあり方、必要性・重要性の周知―

12/20 (日) 13:00-14:00 夢告館MK102

学問・研究の発展・進歩にともない文系学問と理系学問の分離は進行してきたが、近年、コンピュータを中心としたデジタル情報を積極的に活用することにより、両分野の研究を融合化・統合化する試みが行われている。これまで、文章の計量分析、絵画の計量分析、考古学の計量分析などに関し、データ分析の観点から文系の研究者と融合型の研究を行ってきたが、これらの具体的な研究例を通じ、文理融合をどうとらえるべきか、大学での教育はどうあるべきか、共同研究はどのように進めるべきか、さらに今後何をじんもんこんに期待するかについて、40年間の研究で考えたことを紹介する。

略歴

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村上 征勝 氏
1945年南京生まれ。1968年北海道大学工学部精密工学科卒、1974年同大学院工学研究科博士課程満期退学。1973年スタンフォード大学統計学修士課程修了。1977年工学博士(北海道大学)。1974年文部省統計数理研究所研究員、82年同助教授、89‐94年総合研究大学院大学助教授兼任、94年数理研・総研大教授。2004年同志社大学文化情報学部教授。専門は人文社会科学領域のデータ解析。日蓮遺文の研究を機に、文章の計量分析を開始。考古学データや絵画の計量分析など幅広い分野で研究活動を展開している。『真贋の科学-計量文献学入門-』(朝倉書店)、『文化を計るー文化計量学序説―』(朝倉書店)、『言語と心理の統計』(共著:岩波書店)など著書多数。沙羅樹院学術賞(1992)、坂本日深学術賞(1995)、日本情報考古学会賞(1997)、日本行動計量学会功績賞(1997)、日本統計学会賞(2000)を受賞。