趣旨
「デジタル・アーカイブ」は、すでに10年を超えて人文科学とコンピュータ研究会が中心にすえてきたテーマである。その蓄積は多くの成果を生み、さまざまな形で文化資源の流通の一端を担ってきた。それら、多くの成果を受け、いかにこれらの「デジタル・アーカイブ」が人文科学研究に寄与してきたのか、さまざまに問いなおす議論も生まれてきている。それは、アーカイブ(ズ)の本質的な意義を問いなおす動きや、人々の記録・記憶をどのように取り扱うか、という問題設定がより大きく現れてきた状況に規定されているといえよう。
そこで、本シンポジウムでは「「デジタル・アーカイブ」再考」をテーマにすえたい。本研究会が今まで培ってきたデジタル・アーカイブをはじめとする、人文科学へのデジタル技術の応用研究の必要性がますます増している。
たとえば、今回の東日本大震災とそれに連なる災害は、同時に多くの文化遺産・資料を窮地に陥らせた。それは、地域の人文科学研究の基礎、ひいては豊かな社会生活や、地域の記憶の基礎を失うこととなっている。このような例では、地域の人々の記憶を、文化を災害から取り戻すため、それらの資料を一つでも多く救済することが強く望まれる。その救済・活用手法としてデジタル技術は有効であることは言を俟たない。
また、人文科学の基礎資料を保存し、支えてきた博物館・資料館などの諸機関も、近年「MLA連携」の議論の高まりなどあらたな展開を迎えようとしている。この「MLA連携」の場面でも、デジタル技術が、その鍵を握る存在として扱われている。
そのような状況を踏まえると、記録・保存したデジタル資料を社会に広く公開し、還元・活用することで、人々の記憶にどのように資することができるのだろうか。広く社会に、人間の文化的な生活にどのように資することができるのか、また、日本の豊かな人文科学の資料を国際的に発信するためのデジタル技術の利用にはどのような可能性があるか。これらの問題群を問いなおすことの重要性は、以前より増していると言えるであろう。
さらに、これら記録・保存・活用の議論は、既存の資料や歴史的存在のみを対象とするものではない。現代社会における人々の活動を私たちはどのように後世に残していくのかも重要な課題として位置づけられる。現在の人々の営みもデジタル・アーカイブの活動の一端として位置づけた議論を行う必要があるであろう。
デジタル・アーカイブのさまざまな側面を再考する機会を設けることを通じ、デジタル・アーカイブや人文科学へのデジタル技術の応用研究が、さまざまな場に資することの意味を問いなおすことを、本シンポジウムの主眼としたい。多くの可能性の提示を強く望む。
開催概要
- 開催日程
- 2011年12月10日(土)~11日(日)
- 会場
- 龍谷大学 大宮キャンパス(京都市下京区)
- 主催
- 情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会
- 共催
- 龍谷ミュージアム、龍谷大学古典籍デジタルアーカイブセンター、花園大学国際禅学研究所、花園大学文化遺産学科
- 後援
- アート・ドキュメンテーション学会、記録管理学会、情報知識学会、情報メディア学会、全国歴史資料保存利用機関連絡協議会、電子情報通信学会、日本アーカイブズ学会、日本計算機統計学会、日本行動計量学会、日本統計学会、日本図書館情報学会
実行委員会
岡田 至弘(龍谷大学)[委員長]
曽我 麻佐子(龍谷大学), 後藤 真(花園大学), 師 茂樹(花園大学), 関野 樹(総合地球環境学研究所), 高田 智和(国立国語研究所)
プログラム委員会
鈴木 卓治(国立歴史民俗博物館)[委員長]
相田 満(国文学研究資料館),赤間啓之(東京工業大学),安達文夫(国立歴史民俗博物館),稲葉光行(立命館大学(アート・リサーチセンター/政策科学部)),宇陀則彦(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科),及川昭文(総合研究大学院大学),岡本 真(アカデミック・リソース・ガイド株式会社),小澤一雅(大阪電気通信大学),加藤常員(大阪電気通信大学),上地宏一(大東文化大学),川口 洋(帝塚山大学経営情報学部),五島敏芳(京都大学),阪田真己子(同志社大学),坂谷内 勝(国立教育政策研究所),柴山 守(京都大学東南アジア研究所),高橋晴子(大阪樟蔭女子大学学芸学部),田窪正規(近畿大学),田畑智司(大阪大学),永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所),八村広三郎(立命館大学),原 正一郎(京都大学地域研究統合情報センター),古瀬 蔵(国文学研究資料館),三宅真紀(大阪大学),松村 敦(筑波大学),守岡知彦(京都大学人文科学研究所),山田太造(人間文化研究機構),山本泰則(国立民族学博物館),吉岡亮衛(国立教育政策研究所),渡沼玲史(早稲田大学)
協賛、会場展示等
経師 大入、株式会社キーエンス、日本写真印刷株式会社、株式会社サビア、 株式会社JVCケンウッド、大日本印刷株式会社、株式会社丹青社、凸版印刷株式会社、日本電気株式会社、ニューリー株式会社、株式会社堀内カラー、株式会社リガク
おもなトピック
デジタル・アーカイブ(記録、保存もしくは活用に関する技術、事例、理論など)、保存科学、文化財防災、MLA連携、デジタル博物館、デジタル化文書、ドキュメンテーション、デジタル・アーカイブの社会的意義など。
今回のテーマに沿ったご発表だけでなく、考古学・歴史学・文献学・言語学などの人文系諸学を含むデジタル・ヒューマニティーズ、人文情報学、時空間情報、視覚化、データ・マイニング、情報技術を用いた教育、WEB活用、情報検索、メタデータなど、広く人文科学とコンピュータ研究会の理念に即したテーマ、事例、現状批判、問題提起などについてのご発表も広く歓迎いたします。
スケジュール
項目 | 日程 |
---|---|
概要論文の応募について
概要論文の応募受付は終了しています.
- A4判2ページ(図表を含む)の概要論文をへ提出してください。Emailによる電子投稿を原則とします。印刷したものを郵送する場合は、時間的に余裕をもってあらかじめお問い合わせください。査読方針、概要論文の書き方、送付方法などについては、じんもんこん2011概要論文フォーマット(Microsoft Word形式:50KB)に詳しい情報がありますので、ダウンロードの上必ず参照してください。また、上記の開催趣旨やおもなトピックに概要論文の内容や表現が沿っていることに留意してください。情報技術がどう利用されているのかが分からないような人文科学の研究、どのように人文科学領域に寄与・関連しているのかが分からない情報科学・技術の研究については、その研究内容の優劣にかかわらず採択されない場合がありますので注意してください。
- 概要論文には希望する発表形式を明記してください。どれでもいい場合はその旨記入してください。
- 事務局からの連絡は、電子メールを用います。投稿には必ず受付通知をお返ししますので、万一通知が来なかった場合はお問い合わせください。
- 提出された概要論文に基づいて、プログラム委員会で査読・審査の上、応募論文の採否を決定します。
- 採択された場合、A4判8ページ以内の論文集用カメラレディ論文を提出していただきます。
論文投稿
- 重要: 「カメラレディ原稿」および「PDF原稿」の2種類の原稿を作成していただくことになります。シンポジウム当日に参加者に配布される論文集は、提出された論文原稿をそのまま(B5版に縮小して)写真製版し印刷します。この原稿をカメラレディ原稿と呼びます。 情報処理学会の「情報学広場」に掲載する原稿をPDF原稿と呼びます。
- カメラレディ原稿およびPDF原稿は論文原稿執筆ガイド(Microsoft Word形式:45KB)に従って作成・提出してください。
- 必ず8ページまたは6ページで作成してください。
- 締め切りは2011年11月9日(水)です。
発表形式
ポスター発表,デモ発表について
- ポスター&デモセッション
- 会場:PD会場(北黌106講義室)
- 日時:2011年12月11日(日)10:30-12:00
- 発表者の方は,上記の時間帯はポスター前で説明を行ってください.同時平行で行われる口頭発表セッションはありません.
- ポスター&デモの展示期間
- 日時:12月10日(土)12:05~17:30,12月11日(日)9:00~16:50
- ポスター&デモセッション以外でも,上記期間は,PD会場で展示ができます.
- ポスター&デモの搬入出
- 搬入および準備は,12月10日(土)11:30~,12月11日(日)8:30~行うことができます.
- 搬出は,12月11日(日)17:00までに行ってください.それ以降はPD会場へ入室できなくなります.
- 上記時間帯以外の荷物預かり等は,受付へご相談ください.
- 駐車場はありませんので,車での来場はご遠慮ください.
- 貸与する機材
- 貸与物品は以下の通りです.
区分 物品 サイズ,個数 備考 ポスター パネル 約W110×H210, 掲示領域:A0ノビ縦1枚程度まで 画鋲で掲示 台 A4用紙1枚程度の配布資料を置けるもの(2件で1台) デモ パネル 約W110×H210, 掲示領域:A0ノビ縦1枚程度まで 画鋲で掲示 会議用机 約W180×D70×H70, 1台 椅子 1脚(追加可能) 電源 2口 PC1台程度 無線LAN - ポスター発表には電源等の供給は致しませんので御了承下さい.
- 画鋲(押しピン)は事務局で用意しています.
- 無線LANの認証用アカウントについては,当日お知らせします.
- 貸与物品は以下の通りです.
参加申込
参加費(税込) | ||
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参加種別 | 11/30(水) 23:00までの申込かつ振込み(事前・事後共に可) |
(2)通常価格 当日受付あるいは 当日現金支払い |
研究会登録会員 | 8,000円 | |
IPSJ会員(共催・後援団体会員を含む) | 8,000円 | |
非会員 | 10,000円 | |
学生(非会員可) | 3,000円 | |
論文集のみ | 3,000円 |
(注2)
11/30までに申込まれても,お支払い方法が現金の場合は,優遇価格は適用されませんので,ご注意下さい.
参加費振込先 : こちらをご覧下さい.
お願い :当方発行のゆうちょ銀行振替口座用の払込取扱票以外でお振込みの際は,振込手数料はご負担していただくようお願い致します.
また,お申込み者と振込名義人が違う場合など,明細がわかりにくい場合は,お手数ですが振込日・振込先口座・振込人名義・金額・請求書番号をご連絡ください.
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