人文科学とコンピュータ研究会 奨励賞

人文科学とコンピュータ研究会 奨励賞は、当研究会が優秀な研究発表を行った学生を表彰する機会を設けることにより、次世代を担う研究者の研究を奨励し、人文科学分野へのコンピュータの応用に関する研究の発展を促すことを目的としたものです。毎年1回程度、通常の研究会の中で開催される学生セッションから、最も優秀な発表に対して授与されます。

太字は受賞者、カッコ内は共著者。所属は当時のもの。

研究発表会の論文は情報処理学会の情報学広場:情報処理学会電子図書館にリンクしています。各論文の要旨を閲覧することができます。
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2023年

  • 関慎太朗(東京大学大学院人文社会系研究科)、大向一輝(東京大学大学院人文社会系研究科)
    Music Encoding Initiativeを用いた雅楽譜翻訳の実践 ― 分業可能な邦楽譜のデジタル翻訳を目指して
    (2023-CH-132)
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受賞の言葉

この度は人文科学とコンピュータ研究会 奨励賞を授与いただき、誠にありがとうございます。私自身、本研究会での発表は今回で3回目でしたが、今年は初めての対面開催となり、多くの方々とのディスカッションを通じて貴重なコメントを直接いただけたことを大変うれしく思っています。今回の発表は、西洋音楽で使用される五線譜を基礎に開発されているMusic Encoding Initiative (MEI) を日本の伝統音楽である雅楽の楽譜に応用することを目指したものでした。今回は雅楽という音楽ジャンルのごく一部を翻刻の対象としましたが、いただいたコメントも参考にしながら日本伝統音楽の保存、継承、研究に貢献できるよう、さらなる応用を追求していきたいと考えています。発表の機会を与えてくださったCH研究会の皆様、ご指導いただいた先生方、有益なコメントをいただいた会場参加者の皆様に、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

  • 佐久間祐惟(東京大学大学院)、永崎研宣(人文情報学研究所)、左藤仁宏(東京大学大学院)、村瀬友洋(大蔵経研究推進会議)、下田正弘(武蔵野大学)
    仏教の伝統的知識体系の構造化に向けて:日本の漢訳経典注釈書に対するマークアップについての一試論
    (2023-CH-132)
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受賞の言葉

このたび奨励賞を頂戴しましたこと、大変光栄に存じます。まずは、発表の場を設けてくださったCH研究会の運営の先生方に感謝申し上げます。本発表では、仏典、とくに漢訳経典注釈書の特徴的な構造を、いかにTEIガイドラインに準拠しながら記述するか、という問題について検討しました。研究の基礎となったのは、私も参加しているSAT大正新脩大藏經テキストデータベースTEI化研究会で検討されてきたマークアップ方針の蓄積であり、したがって本発表は、同研究会の取り組みの延長線上に位置づけられるものです。日ごろ研究会で共に作業を行っているメンバー、かつて研究会をリードしてくれていたメンバーに感謝し、そしてまた、いつも親身になってご指導くださる下田正弘先生、永﨑研宣先生にこの場を借りて御礼申し上げます。発表題目「仏教の伝統的知識体系の構造化に向けて」が示すように、本研究課題はその端緒が開かれたばかりです。当日頂いた助言等も活かしつつ、さらに研究を進めてゆきたいと存じます。

2022年

  • 大島英之(東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程)
    近世における呉音・漢音の勢力と混読現象の展開―『日本語歴史コーパス』を用いて―
    (2022-CH-129)
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受賞の言葉

このたび本研究会において奨励賞を頂戴しましたことは、望外の喜びであって、大変光栄に存じます。本発表は、国立国語研究所で開発が進められている「日本語歴史コーパス」の形態論情報を活用して、漢語に用いられている字音の種類(呉音か漢音か)を、発表者が入力した字音情報データと照合し判定するプログラムを作成し、それを用いて中世末~近世末の資料における呉音/漢音の割合の変化を観察したものとなります。もともとデジタル技術には疎く、まだまだ分からないことだらけですが、今後は対象資料の拡大やプログラムの更なる改良に努めるとともに、DHの手法や考え方に幅広く関心を持ち続け、日本語史や漢字音研究とDHのつなげ方を模索していきたいと思います。最後になりますが、本発表の機会を設けてくださった運営委員の皆様、また親切に相談に載ってくださった永崎先生、大向先生、人文情報学研究会の皆様と、発表当日多くのご質問・ご助言をくださった会場の皆様に、心より感謝を申し上げます。

2021年

  • 大月希望(東京大学),(大向一輝(東京大学)),(永崎研宣(人文情報学研究所)),(佐倉統(東京大学))
    デジタル時代における多様な資料継承の仕組みを包括する議論モデルの提案
    (2021-CH-126)
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受賞の言葉

この度は奨励賞を頂戴し、大変光栄に存じます。本発表は、多様化する資料継承の方法について議論するためのモデルを検討して提案したものでした。CH研究会で発表させていただくのは昨年に続いて2回目で、今回も多くの参加者の方々に関心を持っていただき、貴重なご質問・ご意見を頂戴できたことを嬉しく思います。発表した内容は私の修士論文のテーマにも関わりが深く、引き続き頂戴したご意見を参考に議論モデルの再検討や拡張を試みたいと考えております。歴代の奨励賞受賞者の方々は受賞後もご活躍されていらっしゃる方ばかりですので、私も後に続けるよう、より一層研究に励みたいと存じます。最後に、毎年こうして学生向けの発表機会を設けてくださるCH研究会の皆様、ご指導いただいた大向先生、永崎先生、佐倉先生、有益なコメントをくださった人文情報学勉強会の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

2020年

  • 小風綾乃(お茶の水女子大学大学院),(大向一輝(東京大学)),(永崎研宣(人文情報学研究所))
    18世紀パリ王立科学アカデミー集会の出席会員分析に向けたデータ構築と可視化
    (2020-CH-123)
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受賞の言葉

この度は、奨励賞をいただき、誠に光栄でございます。本研究は近世フランスの科学アカデミーを対象に、記述統計的手法を用いて所属会員の出席状況を分析したものです。扱ったデータの規模が大きいという点を除けば、手法としては歴史学でもよく用いられる統計分析ですので、デジタル・ヒストリーの実践例として今後汎用性を高めていけたらと思います。本発表にあたっては、東京大学のUTDH勉強会にご参加の先生方、国立歴史民俗博物館の先生方に様々な観点からご助言を賜りました。また今回はCOVID-19の世界的流行を受けてオンライン開催となりましたが、ご出席の先生方から対面と変わらず温かいご質問やご意見を頂戴しました。このような機会をいただけましたことに心より感謝申し上げます。

2019年

  • 木村 優太 (同志社大学),(星野 智紀 (同志社大学)), (杉浦 遊平 (同志社大学)), (深川 大路 (同志社大学))
    字母の違いを考慮した機械学習によるくずし字認識
    (2019-CH-120)
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受賞の言葉

この度は、栄えある賞を賜ることができ、至極光栄に存じます。 発表者自身が学部3年生ということで、まだ、専門と言えるほどの研究テーマ・分野もありませんが、統計科学を学ぶ中で、その理論の実践として、今回、近年関心の高いくずし字認識のテーマを取り上げさせていただきました。 我々の研究では字母に着目することで、認識精度の向上を目指し、達成することができました。 発表では多くの方々に興味・関心を寄せて頂き、大変参考になるご意見をいただけたことをこの場をお借りして感謝申し上げたいと思います。 そして、引き続きこのテーマを発展させる研究に取り組みたいと考えています。最後に、このような発表の機会を与えてくださったCH研究会、そして指導して下さった先生方にも感謝申し上げます。ありがとうございます。

2018年

  • 小風 尚樹(東京大学),(中村 覚(東京大学)), (清原 和之(学習院大学)), (山王 綾乃(お茶の水女子大学)), (纓田 宗紀(東京大学)), (小林 拓実(東京大学))
    歴史研究者・アーキビスト・エンジニアの学際的協働に基づくコミュニティ構築:Tokyo Digital Historyを事例に
    (2018-CH-117)
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受賞の言葉

この度は、奨励賞をいただきまして、大変光栄です。今回の発表自体は、コミュニテ ィ構築についてということで、 発表の中に情報技術が出てくることはなく、CH研究会の発表と しては異色のものだ ったかもしれません。 それにも関わらず、審査の先生方や聴衆のみなさんは大変親身に発表を聴いてくださ り、 大学院生を中心に作り上げてきたこのTokyo Digital Historyというコミュニティを 今後どのように育てていくか、 厳しいご指摘から温かいアドバイスまで数多くいただくことができました。 改めてCH研究会の懐の深さを実感するとともに、このような研究会に育てられてきた ことをうれしく感じました。 コミュニティを代表してお礼申し上げます。 今後、ますますパワーアップして進んでいきたいと思いますので、これからもご指導 のほどよろしくお願いいたします。

  • 王 一凡(東京大学/人文情報学研究所),(永崎 研宣(人文情報学研究所)),(下田 正弘(東京大学))
    グラフデータベースによる文書リポジトリ統合管理システムの設計
    (2018-CH-117)
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受賞の言葉

このたびは受賞の光栄にあずかることとなり、文字通り望外の喜びです。自分自身の博士課程での研究テーマは仏典の異体字に関する文字論的分析ですが、それとともに現在大蔵経データベースプロジェクトにおいて仏典外字の符号化作業に参画しており、今回の発表は国際規格における漢字の標準化の支援に関する事柄でした。漢字のコンピュータ利用は古くて新しい問題であり、今でも活発に議論が続けられている分野ですが、課題も未だに多く残されています。より多くの方々にこのような活動を知り、興味を抱いていただければうれしい限りです。発表を勧めてくださった永﨑研宣先生にお礼を申し上げます。また、お聞きいただいた皆様、審査された先生方からも貴重なご意見の数々をいただき、感謝申し上げます。ありがとうございました。

2017年

  • 村山 実和子(九州大学大学院),(小木曽 智信(国立国語研究所)),(中村 壮範(マンパワーグループ株式会社))
    形態論情報の多重化による洒落本コーパスの質的拡張
    (2017-CH-114)
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    受賞の言葉

    この度は大変素晴らしい賞を賜り,誠に光栄に存じます。 本研究は,江戸時代の文学作品における表記の多様性と,それをいかにしてコーパスに反映させるか,という課題を扱ったものです。これまでの通時コーパスの積み重ねがあってこそ,取り組むことができました。ご指導くださった小木曽智信教授,中村壮範氏をはじめ,お力添えくださった周囲の方々に心から感謝申し上げます。 私自身は,もともと国語学を専門としており,中世後期~近世にかけての文献を主な研究対象としてきました。コーパスを利用し始めたのは大学院に入ってしばらくしてからですが,国語研でコーパス構築に携わるようになり,それまで以上に資料そのものを意識するようになりました。今後も様々な観点から,コーパスを活用した日本語史研究を進めていけるよう努力してまいりたいと存じます。

  • 新井 庭子(東京大学大学院),(分寺 杏介(東京大学大学院)), (松崎 拓也(名古屋大学)), (影浦 峡(東京大学大学院))
    テキスト読解の困難さに関する定量的分析―小・中学校の理科教科書を事例として
    (2017-CH-114)
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受賞の言葉

この度は奨励賞を頂き、大変光栄です。私の長年関心のあるテーマは、「批判的思考を支える言語力」と「日常言語と数学との対応」でした。今回、RST(読解能力テスト)プロジェクトに関わったことをきっかけに、教科書を題材としてまさにこの問題に接近できたこと、そしてその成果をこのように評価いただいたことに大変感謝しております。本研究では小・中の理科教科書を事例とし、テキストの難しさを構成するパラメータを予測するとともに、それが実際に人にとっての難しさにつながっているか検討しました。今後は、「機械的に説明できる難しさ」のより詳細な分析と、それでも最後に残る「機械的には説明できない難しさ」を明らかにすることを目指し研究を続けていきたいと考えております。最後に、今回貴重な 発表の機会を与えて下さり、またご指導を頂いた先生方に重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。

2016年

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受賞の言葉

奨励賞を頂き、大変光栄です。もともと私の専門は近代欧州の数学史でしたが、博士課程編入後に日本の歴史地震資料を読む研究会に所属したことがきっかけで、古典籍やくずし字の学習支援に関わるようになりました。今後は学習支援の枠を超えて、古典籍に関する学術活動全体を活性化する研究に繋げていきたいと考えています。また、本研究は、大阪大学を中心とした科研研究『日本の歴史的典籍に関する国際的教育プログラムの開発』の一環として実施されたものであり、代表の飯倉先生をはじめとして、多数の方々のご協力なしには実現しえなかったものです。この場を借りて御礼申し上げます。

くずし字学習支援アプリKuLAのダウンロードURL:

2015年

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受賞の言葉

この度は、このような栄えある賞を頂きまして、大変光栄です。 専門分野は国語学で、普段は日本語の文法史の研究をしています。 普段の研究で言語資料を扱う中で、資料中のテキストをもっとデジタルに寄せて記述し、 そのデータ同士を関連付けて扱えないか、と着想したところから今回の発表に至りました。 今後は、門外漢ではありますが、文同士・形態素同士を自動で対応付けるためのアルゴリズムについて勉強を進めていき、 また、どこかで発表の機会を頂けたらと思います。 この場をお借りして、発表をお聞き下さった皆様、また、今回こうした発表の機会を与えて下さり、 懇切丁寧なご指導を頂いた永崎研宣先生にお礼申し上げます。 ありがとうございました。

2014年

2013年

2012年

2011年


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Last-modified: 2023-09-27 (水) 15:32:46